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はじめに:「なんとなく」で加入していませんか
「子どもが生まれたから保険に入った」「担当者に勧められた額で契約した」——生命保険の保障額を、自分で計算したことがない人は意外と多いのではないでしょうか。
必要保障額は家族構成・収入・資産状況によって大きく異なります。同じ「30代子育て世帯」でも、共働きか専業主婦(主夫)世帯か、住宅ローンがあるか、不動産を保有しているかによって、必要な保障額は数千万円単位で変わります。
この記事では、必要保障額の計算式をステップごとに解説します。年収700万円台・1歳娘・不動産2物件保有という私自身のケースも公開しながら、読者が自分で計算できる実用的な内容をお届けします。
生命保険の必要保障額とは何か
生命保険の必要保障額とは、万一死亡した場合に、残された家族が生活するために不足する金額のことです。
言い換えると、以下の式で表せます。
必要保障額 = 遺族の支出総額 − 遺族の収入総額
この差額がプラスであれば、その分の生命保険が必要です。マイナスであれば、生命保険がなくても遺族の生活は成立する計算になります。
多くの人が見落としているのは、「遺族の収入総額」の計算です。遺族年金・配偶者の収入・団信・団体保険など、すでに確保されている収入・保障を正確に把握することが、過不足のない保険設計の出発点です。
必要保障額の計算:5つのステップ
STEP1 遺族の生活費を計算する
まず、万一の場合に残された家族が必要とする生活費の総額を計算します。
| 項目 | 計算方法 | あなたの数字 |
|---|---|---|
| 月々の生活費 | 現在の生活費 × 0.7〜0.8(死亡した分を差し引く) | 万円 |
| 必要年数 | 末子が独立するまでの年数(目安:末子が22歳まで) | 年 |
| 生活費総額 | 月々の生活費 × 12 × 必要年数 | 万円 |
現在の生活費に0.7〜0.8をかけるのは、死亡した本人の分の支出(食費・被服費など)が減るためです。
STEP2 追加で必要な支出を加算する
| 項目 | 目安 | あなたの数字 |
|---|---|---|
| 教育費 | 子ども1人あたり500〜1,000万円 | 万円 |
| 住居費(賃貸の場合) | 月額家賃 × 必要年数 × 12 | 万円 |
| 葬儀・整理費用 | 200〜300万円 | 万円 |
| 緊急予備費 | 100〜200万円 | 万円 |
| 支出合計(A) | STEP1+STEP2の合計 | 万円 |
STEP3 遺族の収入・保障を計算する
ここが最も重要なステップです。すでに確保されている収入・保障を漏れなく拾います。
| 項目 | 目安・確認方法 | あなたの数字 |
|---|---|---|
| 遺族年金(遺族基礎年金) | 子1人:約100万円/年・子2人:約123万円/年 | 万円/年 |
| 遺族年金(遺族厚生年金) | ねんきん定期便で確認 | 万円/年 |
| 配偶者の収入 | 現在の手取り収入(または働いた場合の想定収入) | 万円/年 |
| 会社の団体保険 | 会社の総務部門に確認 | 万円 |
| 団信(住宅・不動産ローン) | ローン残高=保障額 | 万円 |
| 現在の金融資産 | 預貯金・株式・iDeCoなど | 万円 |
| 収入・保障合計(B) | 上記の合計 | 万円 |
STEP4 必要保障額を計算する
必要保障額 = 支出合計(A) − 収入・保障合計(B)
この計算結果がプラスの場合、その金額分の生命保険が必要です。マイナスの場合、現時点では生命保険がなくても遺族の生活は成立する計算になります。
STEP5 必要な保険期間を決める
必要保障額が確認できたら、何歳まで保障が必要かを決めます。
- 末子独立まで:子どもが22歳になるまでが最低限の目安
- 住宅ローン完済まで:団信がある場合は不要だが、ない場合は考慮
- 配偶者が自立できるまで:専業主婦(主夫)世帯は期間を長めに設定
必要保障額・保険期間が決まれば、定期保険(掛け捨て)で最小限の保障を確保するのが、コスト効率の高い選択です。
実例:私(年収700万円台・1歳娘・不動産2物件)の計算
上記のステップを、私自身のケースで実際に計算してみます。
STEP1・2 支出合計(A)の計算
| 項目 | 金額 | 計算根拠 |
|---|---|---|
| 生活費総額 | 約3,780万円 | 月22万円×12×21年(娘が22歳まで)+その後老後分 |
| 教育費 | 約500万円 | 公立ルート+習い事・大学費用想定 |
| 葬儀・整理費用 | 約200万円 | 標準的な葬儀費用 |
| 緊急予備費 | 約100万円 | 突発的な支出への備え |
| 支出合計(A) | 約4,580万円 |
STEP3 収入・保障合計(B)の計算
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 遺族年金(基礎+厚生) | 約2,100万円 | 約100万円/年×21年(概算) |
| 団信(不動産2物件) | 約3,700万円 | ローン完済=家族に物件が残る |
| 会社の団体保険 | 約500万円 | 勤務先の団体生命保険 |
| 現在の金融資産 | 約1,267万円 | 現金480万円+株式787万円 |
| 収入・保障合計(B) | 約7,567万円 |
STEP4 必要保障額
必要保障額 = 4,580万円(A) − 7,567万円(B) = △2,987万円
計算結果はマイナス約3,000万円。つまり、現時点では個人の生命保険がなくても、遺族の生活は成立するという結果になりました。
この結果の主な理由は2つです。第一に、不動産2物件の団信(約3,700万円)が大きな保障として機能していること。第二に、株式787万円・現金480万円という金融資産が遺族の生活資金として機能することです。
だからといって「保険ゼロでいい」という結論ではありません。計算はあくまで試算であり、配偶者が働けない期間・子どもの進路変更・想定外の支出など、不確実性への備えとして最小限の個人保険を補完的に保有しています。
計算結果で「保険が少なくて済む」人の共通点
私のケースのように、個人保険の必要額が少なくなるパターンには共通点があります。
- 不動産・住宅ローンの団信がある:ローン残高分がそのまま保障額になる
- 共働きで配偶者に収入がある:遺族の収入源が複数あるため、保障の必要額が下がる
- 金融資産が一定額ある:預貯金・株式が遺族の生活資金として機能する
- 会社の団体保険が手厚い:個人で賄うべき保障のギャップが小さい
逆に、以下のような場合は個人保険の必要額が大きくなります。
- 専業主婦(主夫)世帯で配偶者の収入がない
- 金融資産がほとんどない(貯蓄ゼロ〜少額)
- 会社の団体保険が薄い・入っていない
- 子どもの人数が多く教育費が大きい
保険の見直しで陥りやすいミス
ミス① 団信を保障として計算していない
住宅ローン・不動産ローンを保有している人の多くは団信に加入しています。ローン残高が死亡時に全額返済される効果は、同額の死亡保険と同じです。保険設計の見直しの際には、必ず団信保障額を収入・保障合計に含めましょう。
ミス② 遺族年金を計算に入れていない
遺族年金は「もらえることを知らない」人も多い公的保障です。子どもがいる世帯は遺族基礎年金も受給できるため、保障の計算から外すと必要保障額が過大に見積もられます。ねんきん定期便で遺族厚生年金の目安額を確認しましょう。
ミス③ 保障額を「なんとなく大きめ」に設定している
計算せずに「3,000万円くらいあれば安心」と感覚で決めた保障額は、ほぼ確実に過剰です。計算の結果として必要な金額を保障するのが、保険料を最小化しながら必要な保障を確保する唯一の方法です。
まとめ:保険は「計算してから買う」が鉄則
必要保障額の計算をまとめます。
- STEP1 遺族の生活費総額を計算する
- STEP2 教育費・住居費・葬儀費などを加算する
- STEP3 遺族年金・配偶者収入・団信・団体保険・金融資産を合計する
- STEP4 支出合計−収入保障合計=必要保障額を算出する
- STEP5 必要期間を決めて定期保険で最小限カバーする
私のケース(年収700万円台・1歳娘・不動産2物件・金融資産約1,267万円)では、計算の結果として個人保険の必要額はほぼゼロという結果になりました。これは不動産の団信・金融資産・遺族年金がすでに大きな保障として機能しているためです。
あなた自身の必要保障額を計算してみてください。「思ったより少なかった」という結果になる方も多いはずです。浮いた保険料を積立投資に回すことが、長期的な家族資産設計の加速につながります。
【著者プロフィール】
33歳・1歳娘の子育て世帯。コンサルティング会社勤務(年収700万円台)。不動産2物件・株式・副業を並行しながら、50歳までの純資産1.5億円を目指して資産設計中。このブログでは、実体験にもとづいた家族資産設計の考え方を発信しています。