資産形成は「何をやるか」より「どの順番でやるか」の方が重要です。
NISAやiDeCoが良い制度であることは間違いありません。でも順番を間違えると、良い制度が逆に家計のリスクになることがあります。
たとえば緊急予備資金がない状態でNISAを始めると、急な出費のたびに投資を売却するリスクが生まれます。保険を整えずに不動産投資を始めると、万が一のときに家族が困ります。
この記事では、資産形成の正しい順番とその理由を解説します。自分が2018年から実践してきた順番も含めて公開します。
資産形成の正しい順番:全体像
結論から出します。
- 家計の現状把握とゴール設定
- 緊急予備資金の確保(生活費6か月分)
- 保険の最適化(必要な保障を最小コストで)
- 固定費の削減(入金力を高める)
- iDeCoの活用(節税効果が最大の制度から)
- NISAの積立(非課税で長期運用)
- 不動産・個別株(リスク許容度に応じて)
この順番には「なぜその順番でなければならないのか」という理由があります。以下で解説します。
順番①:家計の現状把握とゴール設定
ゴールがなければ何をすればいいかわからない
資産形成を始める前に「いくら必要か」を決めることが最初のステップです。老後に月いくら必要か・年金でいくら補えるか・不足分をいつまでに準備するか。この計算をすることで、毎月の積立額の目標が決まります。
私は「50歳までに純資産1.5億円・不労所得月50万円」というゴールを設定しています。このゴールから逆算して、月17.5万円という積立額が導き出されました。ゴールがなければ積立額の根拠もありません。
同時に、今の家計の収支を把握します。固定費・変動費・貯蓄の3つに分けてざっくり整理するだけで十分です。
順番②:緊急予備資金の確保(最優先)
これをやらずに投資を始めると最悪のタイミングで売ることになる
緊急予備資金とは、急な出費・収入減少に対応するための現金のことです。生活費の6か月分が目安です。
なぜ投資より先に緊急予備資金が必要なのか。株式市場は必ず暴落します。2020年のコロナショックでは日経平均が約30%下落しました。このとき緊急予備資金がなければ、生活費のために暴落した株を売る事態になります。最悪のタイミングで売ることになり、損失が確定します。
緊急予備資金があることで「暴落しても生活には困らない」という心理的余裕が生まれ、長期投資を続けられます。我が家は約480万円を普通預金に確保しています。
順番③:保険の最適化
過剰な保険料は毎月の積立余力を削る
保険は「万が一のときに家族が困らない状態を作ること」が目的です。必要以上の保険に入り続けると、毎月の保険料が積立余力を削ります。
保険を整える前に不動産投資や株式投資を始めると、万が一のときに投資資産を売却して家族を守らなければならないリスクが生まれます。保険で守れるリスクは保険で守り、投資は投資として独立させることが重要です。
私の場合、会社団体保険+団信(不動産2件・計約3,700万円)+個人保険で補完しています。必要な保障を最小コストで確保することが原則です。
順番④:固定費の削減
一度削減すれば毎月積立余力が増える
固定費を削減することで、投資に回せる金額(入金力)が増えます。固定費は一度見直すだけで毎月効果が続くため、費用対効果が最も高い施策です。
見直す優先順位は保険料→通信費→サブスクの順です。削減した金額はそのまま積立に上乗せします。「固定費を削減したら積立に回す」を即座に自動化することで、入金力が上がります。
入金力の重要性については資産形成は入金力が9割で詳しく書いています。
順番⑤:iDeCoの活用
NISAより先にiDeCoを優先すべき理由
iDeCoはNISAより先に活用すべき制度です。その理由は「投資した時点で節税が確定する」からです。
iDeCoの掛け金は全額所得控除になります。年収700万円台で月2.5万円拠出すると、年間約7万円の節税効果があります。NISAは運用益が非課税になる制度ですが、利益が出て初めて恩恵を受けます。iDeCoは拠出した時点で税金が還ってくるため、確実性が高いです。
ただしiDeCoには「60歳まで引き出せない」という制約があります。緊急予備資金を確保した上で始めることが前提です。
私は2018年にiDeCoを月5,000円から始め、転職を機に月2.5万円に増額しました。iDeCoとNISAの使い分けについてはiDeCo vs 企業型DC 徹底比較にまとめています。
順番⑥:NISAの積立
iDeCoが整ったら上限まで使い倒す
iDeCoを整えたら、次はNISAです。2024年の新NISAでは、つみたて投資枠で年間120万円(月10万円)まで非課税で積み立てられます。
NISAの運用商品は全世界株インデックスファンド一本でシンプルに運用することをすすめます。銘柄選びに時間をかけるより、早く始めて長く続けることの方が重要です。
私は2018年にNISAを月3.3万円で開始し、現在は月10万円まで引き上げています。NISAの設定方法はSBI証券でのNISA設定ガイドを参考にしてください。
順番⑦:不動産・個別株(リスク許容度に応じて)
ここからは「攻め」の投資・順番①〜⑥が整ってから
緊急予備資金・保険・iDeCo・NISAが整ってから、リスク許容度に応じて不動産投資や個別株を追加します。
この順番を守る理由は「守りが整っていない状態での攻めは、一度の失敗でダメージが大きいから」です。不動産はローンを組む大きな投資です。緊急予備資金がない状態で不動産を買うと、空室期間やローン返済で家計が詰まるリスクがあります。
私は不動産投資を、iDeCo・NISAを始めてから数年後に始めました。現在2件を保有しており、月CF約1.2万円のキャッシュフローを得ています。
順番を間違えると何が起きるか:よくある失敗パターン
資産形成でよくある失敗パターンを整理します。
| 失敗パターン | 何が起きるか |
|---|---|
| 緊急予備資金なしで投資開始 | 急な出費で暴落時に売却→損失確定 |
| 保険未整備で不動産投資 | 万が一のとき家族が困る |
| 固定費を削減せず積立開始 | 入金力が低いまま→資産形成スピードが遅い |
| NISAより先に個別株・仮想通貨 | 節税メリットなしで高リスク投資→損失リスク大 |
| iDeCo前にNISAを始める | 節税効果の大きい制度を活用できていない |
私が2018年から実践した順番
自分が実際にどの順番で進めたかを公開します。
- 2018年:緊急予備資金を確保→iDeCo月5,000円・NISA月3.3万円を同時開始
- 転職後:iDeCoを月2.5万円に増額・固定費を見直して積立余力を確保
- 数年後:1件目の不動産投資(滋賀銀行・540万円融資)
- 2年前:NISAを月10万円に引き上げ
- 副業安定後:個別株投資を月5万円追加
- 現在:不動産2件目(オリックス銀行・フルローン3,280万円)・総純資産1,513万円
順番を守りながら少しずつ積み上げてきた結果が現在の資産です。
まとめ:資産形成は順番が9割
- ①家計の現状把握・ゴール設定:いくら必要かを先に決める
- ②緊急予備資金の確保:生活費6か月分を先に現金で持つ
- ③保険の最適化:必要な保障を最小コストで確保する
- ④固定費の削減:入金力を高めてから投資を始める
- ⑤iDeCoの活用:節税効果が最大の制度を先に使い倒す
- ⑥NISAの積立:上限まで積み立てて長期運用する
- ⑦不動産・個別株:①〜⑥が整ってから追加する
順番を守ることは「慎重すぎる」ことではありません。守りが整うことで、投資に集中できる状態が作れます。焦らず順番通りに進めることが、長期的な資産形成の近道です。
※本記事の内容は個人の実体験・考え方に基づくものです。将来の運用成果を保証するものではありません。投資にはリスクが伴います。情報は変更される場合があります。
よくある質問
Q. iDeCoとNISAはどちらを先に始めるべきですか?
節税効果の観点ではiDeCoを先にすることをすすめます。iDeCoは拠出時点で所得控除が確定するため、確実な節税効果があります。ただし60歳まで引き出せないため、緊急予備資金を確保した上で始めることが前提です。
Q. 不動産投資はいつ始めればいいですか?
緊急予備資金・保険・iDeCo・NISAが整ってからが基本です。融資審査の観点では、勤続年数・収入・既存ローン・信用情報が整っているタイミングを見極めることも重要です。
Q. 順番通りに進めると時間がかかりすぎませんか?
緊急予備資金の確保と固定費削減は数か月で完了できます。iDeCoとNISAの口座開設は1〜2か月です。実際に全体の準備が整うまでに半年もあれば十分です。「準備が整ってから始めよう」の待ち時間より、順番通りに動き始める方がはるかに早く資産形成が進みます。
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