コンサルタントの仕事は、突き詰めると「言語化する仕事」だ。複雑な状況を整理して、相手に伝わる言葉に変換する。これが仕事の核心にある。
娘が言葉を覚え始めたとき、ふと思った。語彙力は、親との日常会話の中で育つんじゃないか。
言語化を仕事にしているコンサルタントとして、娘の語彙力を育てるために毎日意識していることがある。特別な教材も高価な習い事も使っていない。日常の会話を少し変えるだけだ。この記事では、その実践をそのまま公開する。
なぜ語彙力が大事なのか
語彙力は「知っている言葉の数」だけではない。自分の気持ちや考えを言葉にする力のことだ。
語彙が少ない子どもは、感情を言葉にできず「イヤ」「やだ」しか言えない状態になりやすい。逆に語彙が豊かな子どもは「悲しい」「怖い」「恥ずかしい」と感情を細かく表現でき、自分の状態を他者に伝えられる。これはコミュニケーション能力の根幹になる。
大人になってからも同じだ。語彙が豊かな人は思考が細かく、語彙が貧しい人は思考も粗くなりやすい。言葉は思考のツールでもある。
コンサルパパが毎日やっている3つのこと
① 感情に「名前」をつける
娘が泣いたり怒ったりしたとき、「どうしたの?」で終わらせず、感情に名前をつけることを意識している。
- 「悲しかったんだね」
- 「びっくりしたね」
- 「悔しかったんだね」
- 「恥ずかしかったのかな」
2歳の段階では「イヤ」「やだ」「ないない」くらいしか感情表現がない。親が感情に名前をつけて返し続けることで、子どもはその言葉を少しずつ自分のものにしていく。
先日、娘が積み木を崩してしまったとき「くやしい」と言った。2歳でこの言葉が出たとき、正直驚いた。日常で繰り返し使っていた言葉が定着していた。
② 「なぜ?」を一回多く聞く
コンサルの現場では「So what?」と同じくらい「Why?」を使う。表面の答えではなく、その背景にある理由を掘り下げる習慣だ。
娘との会話でも、これを意識している。
- 「このお花、きれい」→「どんなところがきれいだと思う?」
- 「このごはん、おいしい」→「どんな味がする?」
- 「〇〇ちゃんが好き」→「どんなところが好きなの?」
すぐに答えられなくてもいい。「なんで?」と問いかけること自体が、言語化する習慣の種になる。2歳では「あまい」「やわらかい」くらいの答えしか返ってこないが、それで十分だ。
③ 親が「言葉を丁寧に使う」を見せる
子どもは親の言葉遣いをそのまま吸収する。これは研究でも繰り返し示されていることだ。
私が意識しているのは、自分自身が語彙を丁寧に使うことだ。
- 「疲れた」ではなく「今日は体がだるくて、頭も重い感じがする」
- 「おいしい」ではなく「甘くて、やわらかくて、口の中でとろける感じがする」
- 「きれい」ではなく「オレンジ色と赤が混ざっていて、夕焼けみたいな色だね」
大げさに聞こえるかもしれないが、娘と話すときだけでいい。親が言葉を丁寧に使う姿を見せることが、語彙力の土台になる。
日常のどのタイミングでやるか
特別な時間を作る必要はない。日常の中に組み込むのがポイントだ。
- 散歩中:見えるものを一緒に言葉にする。「あの雲、どんな形に見える?」
- 食事中:食べ物の味・食感を一緒に表現する。「今日のにんじん、どんな感じ?」
- 寝る前:「今日一番楽しかったことは?」と一日を振り返る。感情の言語化練習になる。
- 絵本の読み聞かせ後:「この子はどんな気持ちだったと思う?」と登場人物の感情を話し合う。
所要時間はどれも1〜2分だ。毎日の積み重ねが語彙力の土台になる。
やってはいけないこと
語彙力を育てようとするとき、逆効果になりやすいことがある。
答えを急かさない。「どんな気持ち?」と聞いて、すぐに答えが返ってこなくても待つ。「早く言って」という雰囲気を出すと、子どもは「言葉にする」こと自体を嫌いになる。
答えを否定しない。「このごはん、おいしい?」「あんまり」という答えが返ってきたとき、「そんなことない、おいしいでしょ」と返してはいけない。子どもの言語化を否定すると、表現することをやめてしまう。
一度にたくさんやろうとしない。3つ全部を毎日完璧にやる必要はない。できるときにできることをやる。習慣は少しずつ積み上げるものだ。
2歳から始める理由
言語発達の観点から、2〜3歳は語彙が爆発的に増える時期だ。この時期に豊かな言語環境にいた子どもは、その後の言語能力に差が出やすいとされている。
ただし、遅く始めても意味がないわけではない。語彙力は何歳からでも育てられる。2歳から始めるのは「早いほど効果が出やすい」という理由であって、「今すぐ始めなければ手遅れ」ではない。
大切なのは、始める時期より「続けること」だ。
まとめ:語彙力は特別な教育より日常会話で育つ
コンサルパパが2歳の娘に毎日やっていることをまとめる。
- 感情に名前をつける:「悲しい」「悔しい」「恥ずかしい」を日常的に使う
- 「なぜ?」を一回多く聞く:表面の答えの背景を引き出す習慣をつける
- 親が言葉を丁寧に使う:子どもは親の言葉遣いをそのまま吸収する
高価な教材も特別な習い事も必要ない。日常会話を少し変えるだけだ。子どもの語彙力は、親との毎日の積み重ねの中で育っていく。
言語化力は、将来どんな仕事に就いても役立つ力だ。コンサルタントとして痛感している。娘にとって最高の「語彙力教育」は、日々の会話の中にあると思っている。
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