「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とS&P500、どちらを買えばいいですか」——NISAを始めた人が最初にぶつかる疑問の一つです。さらに「両方買えばより分散できる」という考えから、両方を保有している人も少なくありません。
結論から言います。両方持つ必要はありません。どちらか一方に絞るべきです。
私は33歳、コンサルティング会社勤務の会社員です。NISAでeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を選んで積立しており、現在の残高は約300万円です。この記事では、両者の違いを整理した上で「どちらか一方に絞るべき理由」を解説します。
このページの目次
両者の基本的な違い
| 項目 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) |
|---|---|---|
| 投資対象 | 世界約50カ国・約3,000銘柄 | 米国大型株500社 |
| 米国株の比率 | 約62%(時価総額加重) | 100% |
| 信託報酬 | 年0.05775% | 年0.09372% |
| 地域分散 | 全世界(先進国+新興国) | 米国のみ |
| 過去10年リターン | 米国株より若干低め | 全世界株より高め |
最大の違いは「米国への集中度」です。S&P500は米国100%、全世界株式は米国約62%+その他38%という構成になっています。
「両方持てばより分散できる」は間違い
両方を保有することで分散効果が高まると思っている方が多いですが、これは誤解です。
全世界株式の約62%はすでに米国株(S&P500の構成銘柄と大部分が重複)です。全世界株式とS&P500を半々で持つと、ポートフォリオの米国比率は約81%になります。「分散している」ように見えて、実態は米国への集中度が高まるだけです。
本当の分散投資とは「値動きの異なる資産を組み合わせること」です。全世界株式とS&P500は値動きが非常に似ており、組み合わせても分散効果はほとんどありません。
私はすでに不動産2物件・株式インデックス・現金という異なる資産クラスで分散しています。株式の中でさらに似た商品を分けて持つことに意味はありません。
過去の運用成績:S&P500の方が高かった
過去10〜20年の運用成績はS&P500の方が全世界株式を上回っています。これは米国経済・米国株式市場が世界をリードしてきたからです。
ただしこれは「過去の結果」であり、将来も同じとは限りません。過去30年で見ると、1990年代は日本株が世界をリードし、2000年代は新興国株が米国株を上回っていた時期もありました。「次の20年も米国が勝ち続ける」という保証はどこにもありません。
コンサルタントとして言えば、「過去の実績だけで将来を判断する」のは意思決定の典型的な誤りです。将来どの国・地域が成長するか分からないからこそ、全世界に分散する意義があります。
私が全世界株式を選んだ理由
理由① 「次の覇権国」を予測する必要がない
全世界株式インデックスは、時価総額加重で世界中の株式を自動的に保有します。米国が成長すれば米国の比率が上がり、新興国が台頭すれば新興国の比率が上がる——つまり「どの国が伸びるか」を予測しなくていい仕組みです。
S&P500を選ぶということは、「これからも米国が世界をリードし続ける」という予測に賭けることになります。私はその予測に自信が持てないため、全世界株式を選びました。
理由② 信託報酬が低い
全世界株式(年0.05775%)はS&P500(年0.09372%)より信託報酬が低いです。長期運用では、この差が複利で積み上がります。数十年単位で見ると、コストの差は無視できません。
理由③ 「何も考えなくていい」安心感
全世界株式を持っていれば、「米国が不調になったら乗り換えよう」と考える必要がありません。世界全体に投資しているため、どの国が伸びても自動的に恩恵を受けられます。この「考えなくていい」という設計が、長期投資を継続する上で重要です。
投資のタイミングを考えない・乗り換えを考えないというスタンスで長期保有するなら、全世界株式が最もシンプルな選択です。
S&P500を選んでいい人
全世界株式を推奨しましたが、S&P500を選ぶことが合理的なケースもあります。
- 「米国経済の成長を信じている」という明確な投資観がある:確信があるなら集中投資も合理的
- 過去の実績を重視して少しでも高いリターンを狙いたい:過去データを重視するならS&P500
- すでに全世界株式を別口座で保有している:NISAとiDeCo・企業型DCで使い分けるケース
重要なのは「なんとなく両方」ではなく「理由を持ってどちらか一方を選ぶ」ことです。
どちらを選んでも「続けること」が最重要
全世界株式かS&P500かという議論より、はるかに重要なことがあります。それは「選んだ商品を長期間積み立て続けること」です。
どちらを選んでも、途中で売ったり・乗り換えたり・積立を止めたりすることが、長期投資の最大のリスクです。インデックス投資の強みは時間と複利にあります。20〜30年という時間軸で積み立て続けることで、どちらの商品もほぼ同等の結果をもたらす可能性が高いです。
「全世界かS&P500か」で悩んで始められないより、今すぐどちらかを選んで積立を始める方が、長期的な資産形成においてはるかに重要です。NISAの口座開設・積立設定を今日中に完了させることが、最も効果的なアクションです。
まとめ:両方持つ必要はない・どちらか一方に絞る
- 全世界株式とS&P500は構成銘柄が大部分重複しており、両方持っても分散効果はほぼない
- 過去の運用成績はS&P500が上だが、将来も同じとは限らない
- 私は「次の覇権国を予測しなくていい・低コスト・シンプル」を理由に全世界株式を選択
- S&P500も合理的な選択だが、「なんとなく両方」は避ける
- どちらを選ぶかより「長期で積み立て続けること」の方がはるかに重要
悩む時間を減らして、今すぐ積立を始めることが長期目標への最短経路です。
【著者プロフィール】
33歳・1歳娘の子育て世帯。コンサルティング会社勤務(年収700万円台)。不動産2物件・株式・副業を並行しながら、50歳までの純資産1.5億円を目指して資産設計中。このブログでは、実体験にもとづいた家族資産設計の考え方を発信しています。